今回の講義は、英検準1級のリスニング対策です。
準1級を受験される方であればすでにご存知の方も多いと思いますが、
いわゆる「リスニング能力」を向上させるためには、ある程度の単語を知ったうえで、じっさいに文章として発音される際におこる、日本語にはない英語の特徴
- 音がつながる(連結)
- 発音されない音がある(脱落)
- 前後の単語との影響で音が変わる(同化)
などを理解し、それに慣れておく必要があります。
ですが、これら英語の特徴への対策は、なにも英検準1級に限ったものでないため、今回の講義では扱いません。
この講義では、英検準1級に受かるための、
「英検準1級のリスニング問題」に特化した、具体的な対策について解説していきます。
それでは始めましょう。
今日の講義の流れ
英検準1級リスニングは3部に分かれている
英検準1級のリスニングパートは
- 第1部(男女の会話)
- 第2部(150語程度の英文)
- 第3部(Real-Life形式の英文)
に分かれています。
「英検準1級合格」という目的を達成するためには、漠然とリスニングの問題を解いているだけでは遠回りになります。
全3部、それぞれの出題形式を知って、具体的に対策をすることが大切です。
まずは第1部の対策から始めます。ついてきてくださいね。
英検準1級リスニング(第1部)の対策
第1部は、男女二人の会話を聞いて、その内容に一致する選択肢を選ぶ問題です。
まず、この第1部のレベルを知るために、試験で流れる英文を日本語訳したスクリプトを用意しました。
これを読むことで、英検準1級のリスニングのレベルを具体的にイメージすることができます。
実践している人は少ない印象ですが、「相手を知る」ことはとても重要で有効ですので、以下のスクリプトを読んでみてください。
【会話】
A:スーザン、あなたは確か来週に休暇を取る予定ですよね?
B:はい、マニトバにいる家族を訪ねるつもりです。
A:これをお願いするのはとても心苦しいんだけど、なんとかその休暇の予定を1週間延ばしてもらえませんか?私たちの会社の新しいビジネスベンチャーについて、ベイカー社に相談をするために、あなたにロサンゼルスに行ってもらう必要があるんです。
B:はい、わかりました。いろいろと調整するために何件か電話させていただければ、準備をしておきます。
A:ありがとう。本当に感謝します。
【質問】
スーザンは、何をすることに同意していますか。
【選択肢】
1.ベイカー社との打ち合わせをキャンセルする
2.彼女の休暇の予定を変更する
3.彼女の家族をロサンゼルスに連れて行く
4.来週、彼女の親戚を訪ねる
どうですか?
英検準1級といっても、日本語で読めば、正しい答えは簡単に選べるレベルですよね。
もちろん、これが英語で話されるわけですから、なかなか簡単には聞き取れないと思います。
ただ、ここで理解してほしいことは、
「こういったレベルの内容が話されているんだな」ということを、事前に知っておくことが、試験にとても役立つ、ということです。
さきほどの日本語訳を読むことで、英検準1級のリスニングは何か難しいことを言っている、という先入観をなくしてしまってください。
これが英検準1級のリスニング攻略の第一歩です。
では、いよいよ具体的な試験対策に入っていきましょう。
対策のポイントは、以下の4つです。
- 選択肢の先読みとマーキング
- 「会話の冒頭」で場面を把握する
- 「話し手の感情」を理解する
- 質問のパターンを事前に頭に入れておく
以下で、この4つについて、詳しく見ていきますよ。
選択肢の先読みとマーキング
はっきり言って、
長文問題などでもそうですが、選択肢を先読みして、問題のポイントの目星をつけたうえで解答するテクニックは一般的だと思います。
英検準1級のリスニングにおいても、この「選択肢の先読み」は絶対に有効です。
ただし、時間が限られていますので、やみくもに選択肢を読むだけでは大した効果はあがりません。
短時間、かつ効果的に先読みする必要があります。
ポイントは以下の二つです。
- すべての選択肢に共通した単語は無視する
- キモとなりそうな語(動詞や名詞)に印をつける
重要なことは、
すべての選択肢の内容を理解しようとするのではなく、
- 重要だと思われるポイントに
- 「機械的に」印をつけていく
ということです。
英検準1級のリスニング第1部の問題は、全部で12問あります。
数問だけを丁寧に先読みするより、機械的に短時間で12問全部に印をつけてしまうことが、合格へのコツです。
先読みを短時間ですませられるということは、仮に筆記で時間が余らなかった場合でも、問題の説明がテープで流れている間に先読みを済ませることも可能になるということです。
じゃあ、どうやって印をつけていけばいいのか。
さきほどの2つのポイントごとに具体的に例を出しますね。
すべての選択肢に共通した単語は無視する
以下のような感じでマーキングします。
ここでは、「It (is)」はすべての選択肢に共通しているので、解答の際には意識する必要はありません。
思い切って無視してしまいましょう。
それ以外の内容の部分に下線を引き、パッと違いが目に入るようにしておきます。
この時、選択肢の内容を熟読する必要はありません。
あくまで機械的にマーキングし、質問が流れたあとの解答時間の中で、下線部分から素早く判断するんです。
たかが下線ひとつですが、これを引いているだけで、正答を選ぶスピードが驚くほど上がります。
キモとなりそうな語(動詞や名詞)に印をつける
さきほどの「すべての選択肢に共通した語を無視する」ことに加え、キモとなる部分に印をつけます。こんな感じです。
「He」や「them」は全部同じなので、それ以外の部分の違いがパッと目に付くように印をつけるんです。
もちろん、印は〇や下線でなくても構いません。
重要なのは、選択肢ごとの違いが一目でわかるようにマーキングするということです。
このマーキングについては、画像での説明に加え、この記事の最後に動画でもくわしく解説しています。
10分程度の短い動画ですが、先読みのエッセンスがつまっていますので、ぜひ参考にして身につけてくださいね。
「会話の冒頭」で場面を把握する
英検準1級のリスニング第1部は、男女の会話の「一部が切り取られて」出題されます。
長文問題のように、起承(転)結の順で話されるわけではないので、まずは会話の「トピック」「状況」について、いち早く理解する必要があります。
トピック、状況を素早く理解するためには、会話の冒頭の聞き取りがポイントになります。
- どこで
- 誰と誰が
- 何について
会話しているのかをつかむため、会話の冒頭は特に注意深く聞くよう、意識してください。
話し手の「感情」を理解する
英検準1級を受けようとするあなたにとっては、当然、英検準1級の問題は余裕で解けるレベルではないですよね。(だからこそ、試験を受けているわけです。)
リスニングにおいても、すべての単語が聞き取れることは無いと思います。
それで、まったく問題ありません。
すべての単語を聞き取ることはできないことを前提として、先ほどの「会話の冒頭に集中する」に加えて意識してほしいことがあります。
それは「話し手の感情を把握する」ということです。
第1部は男女の会話ですので、しばしばふたりの感情が問題のキーになります。
- 困っているのか
- 言い争っているのか
- 喜んでいるのか
- 感謝しているのか
などなど、会話のトーンから判断し、その「理由」や「解決案」を聞き取るように意識すると、比較的スムーズに問題を解くことができることが多いです。
質問のパターンを知っておく
英検は、ご存知のとおり歴史ある試験です。
すると、各回ごとに試験の体裁や趣向が変化してしまうと、試験としての一貫性が保たれなくなってしまいます。
何が言いたいかというと、「試験の出題パターンはある程度決まっている」ということです。
英検準1級のリスニング第1部でいうと、設問の際に使われる疑問詞は「what」「why」が圧倒的に多いです。
【実際に試験にでた設問例】
・What will the boy probably do next?
・What does the woman say about the Dragons?
・Why will the woman be late for work?
・Why is the man upset with the airline?
・What is one thing the man says to the woman?
などなどです。
もちろん、「how」「where」など、他の疑問詞を使った質問もありますが、典型的な設問パターンを把握しておくと、リスニングしている最中にも、「ここらへんから問題が出そうだな」という気配がわかるようになります。
英語を勉強する目的は人それぞれだと思いますが、今、あなたは「英検準1級に受かる」ことを目標にしていますよね。
であれば、このように決まった傾向のある試験については、そのための対策をとりましょう。
先ほど挙げた設問例を参考に、質問のパターンを体感しておいてください。
これだけでも結果はかなり違ってきますよ。