今回の講義は、英検準1級のリスニング(第2部)の対策です。
第1部の対策は以下で解説しています。
2部の対策は、1部の対策を知った上で学ぶことで、より学習効果が高まりますので、1部の対策を読んでいない方はこちらを先にお読みください。
今日の講義の流れ
英検準1級リスニング(第2部)の対策
第2部は、150語程度の英文が読まれ、その内容と正しい選択肢を選ぶ問題です。全部で6題あります。
流れる英文は6題ですが、英検準1級第2部が手強いポイントとして、1つの英文から2問出題されるという点があります。
リスニング第2部は「さすが英検準1級」といえる難易度だといえます。
とはいえ、これからお話する対策を行っていただければ、もちろん合格レベルに達することは可能ですのでがんばりましょう。
まずは日本語訳スクリプトで出題レベルを知ろう
第1部でもお話ししましたが、英検準1級のリスニングで合格レベルの点をとるために、これはとても有効な方法です。
相手のレベルを知らずして、効果的な対策をすることはできません。
「英検準1級合格」を目指しているのであれば、まずは「英検準1級の問題のレベル」をよく知っておくことが大切なんです。
問題のレベルを知るためには、どうしたらいいのか。
それは、実際に読まれる英文(スクリプト)を、日本語に訳し、問題の程度を把握するということでしたね。
実際にやってみましょう。
以下は、実際の英検準1級リスニング第2部で流れた英文の日本語訳です。
【放送された文】
「レッドデリシャス」
20世紀の半ば以降、レッドデリシャスはアメリカで最も人気のあるりんごの品種である。消費者はその味と赤い色が好きだが、この品種は農場経営者にとっても魅力がある。レッドデリシャスは収穫されたあと、その厚い皮によって、他の品種よりも長い期間、腐らずに倉庫に保管しておくことが可能なのである。
しかし、年月とともにスーパーマーケットは商品の外見により注目するようになってきて、消費者を惹きつけるために、より美しく形の良いりんごを作るよう、生産者たちにプレッシャーを与えてきた。批判的な人々によると、これがレッドデリシャスに大きな影響を与えているという。彼らは、りんごの外見を良くするために手を加えた結果、さらに皮は厚くなり、味は苦くてまずくなったと主張している。依然として売れてはいるが、消費者がもっと味のよい品種を買うようになるにつれて、レッドデリシャスの売上は徐々に落ちてきている。
【質問文1】
農場経営者がレッドデリシャスを育てるのを好む理由のひとつはなにか。
【質問文2】
批判的な人々は、レッドデリシャスについて何と言っているか。
どうですか。
第1部と比べても、英文の質・量ともに手強い感じですよね。
ただ、日本語で聞けば、正しい答えを選べるレベルではあると思います。
さらに、選択肢は4択ですので、正解ではない選択肢というのは「明らかに違う」とわかる内容のものも多いです。
例えば、質問1の選択肢の中には、「他の品種よりもビタミンが多い」など、「ビタミン」といったまったく触れられていないトピックが急に出てくる選択肢があったりします。
こういった選択肢は正解ではありません。
また、この第2部は難易度は高いですが、全問正解する必要はありません。
これからお話しする具体的な方法をマスターして、1問でも多く、正解を拾う意識でがんばりましょう。
ついてきてくださいね。
準1級リスニング第2部のポイントは3つ!
対策のポイントは、以下の3つです。
- 選択肢を先読みする
- タイトルを聞き逃さない
- パラフレーズ(言い換え)に気づく
順番にくわしく見ていきましょう。
選択肢の先読み
第1部と同様、選択肢の先読みは必須です。
先読みするうえで意識しておく重要なポイントは
すべての選択肢の内容を理解しようとするのではなく、的確な箇所に「機械的に」印をつけていく、ということです。
重要なので繰り返します。
- 先読みした選択肢の内容を覚えておく必要はない
- 「機械的に」マーキングしていく
こうすることで、じっさいに英文が読み上げられた後の短時間で、正しい選択肢を選びやすくなります。
マーキングのポイントは以下の2つです。
- すべての選択肢に共通した単語は意識から外す
- キモとなりそうな語(動詞や名詞)に印をつける
英検準1級のリスニング第2部の問題は「6つの英文✕2問」で計12問あります。
数問だけを丁寧に先読みするより、機械的に12問全部に印をつけてしまうことが、合格へのコツです。
第1部の解説でもお伝えしましたが、マーキングの具体例をあらためて紹介します。
すべての選択肢に共通した単語は無視する
以下のような感じでマーキングします。
ここでは、「It (is)」はすべての選択肢に共通しているので、解答の際には意識する必要はありません。
思い切って無視してしまいましょう。
それ以外の内容の部分に下線を引き、パッと違いが目に入るようにしておきます。
この時、選択肢の内容を熟読する必要はありません。
あくまで機械的にマーキングし、質問が流れたあとの解答時間の中で、下線部分から素早く判断するんです。
たかが下線ひとつですが、これを引いているだけで、正答を選ぶスピードが驚くほど上がります。
キモとなりそうな語(動詞や名詞)に印をつける
さきほどの「すべての選択肢に共通した語を無視する」ことに加え、キモとなる部分に印をつけます。こんな感じです。
「He」や「them」は全部同じなので、それ以外の部分の違いがパッと目に付くように印をつけるんです。
もちろん、印は〇や下線でなくても構いません。
重要なのは、選択肢ごとの違いが一目でわかるようにマーキングするということです。
先読みはいつやるのか?
選択肢の先読みの重要性をお伝えしてきましたが、
じゃあ、その先読みっていつやるの?という疑問がありますよね。
一番の理想は、筆記を制限時間よりも早めに終わらせて、残った時間で先読みをやってしまうことです。
ただ、なかなかそんな余裕はないのも現実だと思います。
そんな時は、リスニングパートがはじまって数分間ある、問題の説明がテープで流れている時間を利用することも可能です。
タイトルを聞き逃さない
先ほど日本語訳を紹介したとおり、英検準1級のリスニング第2部は、150語程度の比較的長めの英文が出題されます。
そして、第1部の男女の会話のように、「会話の一部」が流されるわけではないので、ある程度、論理的に話がすすみます。
その意味では、話の流れは推測しやすいものが多いです。
さらにリスニングの助けになるのが「タイトル」です。
すべての単語の意味がわからなくても、たとえば先ほどの英文であれば「レッドデリシャス」ということで、これが「リンゴ」を意味しているとまでは想像できなくても、「デリシャス」→「おいしい」程度であれば予想できますよね。
「おいしい」とくれば、なにか食べ物の話だろうと予想ができます。
これだけでも、何も手がかりがない状態と比べると、英文の内容が頭に入ってきやすくなるんです。
タイトルを聞き逃さないように意識してくださいね。
パラフレース(言い換え)に気づく
これはリスニングに限らず、長文問題でも使えるテクニックなのですが、
「内容が一致するものを選択肢から選ぶ問題」では、正解の選択肢は、放送で流れた表現をすこし変えて作られています。
問題を作る側の視点から考えてみましょう
問題作成者は、4つの選択肢のうち、間違えの選択肢を3つ作り、正しい選択肢をひとつ作る必要があります。
その時、正解の選択肢として放送文で話された表現をそのまま選択肢に使ってしまうと、簡単に答えがわかってしまいますよね。
そうならないように、放送文の表現を少し変えて(もちろん意味は変えないように)選択肢をつくっているのです。
たとえば、先ほど日本語訳をした過去問では、こんなふうにパラフレーズ(言い換え)が使われています。
【放送された英文】
to be kept in warehouse(倉庫で保管しておける)
【正解の選択肢】
It can be stored(保存しておける)
このパラフレーズに気づけるかどうかが、ポイントになるんです。
この視点をもつことで、正解率はグッとあがりますよ。