今回の講義は、英検準1級のライティング「英作文」の対策です。
英作文については
- これまで主にTOEICなどで英語学習をしてきたのでなじみがなく、どう手を付けてよいかわからない
- 学生の方は、英作文のセオリーなどについては授業でも教わらないため、何を書けばいいのかわからない
という方が多いのではないかと思います。
ですが、恐れる必要はまったくありません。
なぜなら、
英検準1級の英作文問題は、きちんとツボを押さえて書きさえすれば、確実にあなたの得点源になるからです。
じっさい、英作文のレベルに関しては、英検2級と大差ありません。
リーディングやリスニングに比べると、ライティングについては英検2級とのレベルの差がほとんどないのです。
必要なのは、決まったパターンに当てはめて書くための「形稽古(かたげいこ)」です。
その「型」についても、くわしく説明していきますからついてきてくださいね。
それでは、はじめましょう。
今日の講義の流れ
英検準1級のライティング(英作文)の出題形式
まずは、出題形式を知りましょう。
英検準1級のライティング(英作文)については、毎回決まった形で出題されますので、これを理解しておくことは必須です。
基本的に、出題形式は以下のとおりです。
- TOPIC(お題)が与えられる
- そのTOPICについて、あなたの意見を
- 2つの理由を示して
- 120~150語で書く
というものです。
あなたの意見を書く際に示さなければいけない「2つの理由」ですが、これについては「POINTS」として与えられる4つの観点の中から選ばなくてはいけません。
たとえばこんな形です。
【TOPIC】
Should Japan do more to protect its historic sites?
【POINTS】
● Cost
● Development
● Education
● Tourism
英検2級では、この「POINTS」は使っても使わなくてもどちらでも構わなかったのですが、準1級では必須です。
かならず、「POINTS」の中から選ばなくてはいけませんので、注意してくださいね。
出題形式については以上です。
では、いよいよ具体的な対策に入っていきましょう。
英検準1級のライティング(英作文)の対策
冒頭でもお話ししましたが、英検準1級のライティングは「型稽古」です。
定型の、お決まりのパターンにそって書いていけば点がとれます。
(じつは、英検に限らず、英語の論述文すべてにこの「型」は適用可能です。)
英検準1級のライティングを解くための具体的な手順は、以下のとおりです。
- 「TOPIC」の内容を理解する
- 「POINTS」から、理由を書けそうな2つを選び、賛成か反対かを決める
- 構成に当てはめて書いていく
ここでのポイントは、2番目の「「POINTS」から、理由を書けそうな2つを選び、賛成か反対かを決める」です。
勘違いしやすいのですが、
最初に、賛成か反対かを決めるのではありません。
もっと言えば、あなた自身がどう考えているのかも関係ありません。
あくまで、
この流れで書いていくのです。
ここは英検準1級ライティングを攻略するうえで、非常に大切なポイントなので以下でくわしく説明します。
ついてきてくださいね。
書きやすい「POINTS」を2つ選ぶ
まず、最重要である「大前提」をお伝えします。
英検をはじめとした、英語の検定試験のライティングでは、あなた個人の意見は求められていません。
では、なにが求められているのか。
それは、自分の意見を
論理的に説明する能力
なんです。
ですので、あなたの意見が「世間一般の常識に照らして正しいかどうか」はどうでもいいのです。
要は、
- わたしはこう思う。(賛成or反対)
- なぜなら、こうだから。(2つの理由を述べる)
という内容が適切に書けていれば、合格点をもらえます。
せっかくなので、さきほど例に挙げた問題をじっさいに解いていく形で説明していきましょう。
【TOPIC】
Should Japan do more to protect its historic sites?
【POINTS】
● Cost
● Development
● Education
● Tourism
TOPICの内容は、
日本はもっと自国の史跡を守るようにするべきだと思いますか?
といった感じですね。
ここで仮に、あなたが「うん、史跡は国にとって大切だから守るべきだ」と考えたとしましょう。
すると次に、それをサポートする理由を2つ考えなくてはいけません。
その理由がたまたま2つとも【POINTS】の中にあれば、なんとか書くことができるかもしれませんが、そうであるとは限りません。そうでない可能性の方が高いでしょう。
そうなった時に、【POINTS】 の中から、「史跡を守るべきだ」の主張に合いそうな2つの理由を見つけ、強引に論をすすめていく必要が出てくるのです。
これは、限られた時間の中で行う英作文として、非常に難易度が高いです。
おそらく、気持ちが焦って制限時間内にまとめることができなくなる可能性が高いと思います。
そこで、先ほど説明した方法で書いていくのです。
どのPOINTSなら書けそうか?
あなた「個人の意見」は脇へ置いておきます。
そして、与えられた「POINTS」を順番に見ていきます。
このように、すべての「POINTS」を眺めた上で、どの立場なら書きやすいかで決めるのです。
重要なので繰り返します。
2つの理由を簡単にまとめる
書きやすい立場を決めたら、次に、もう少し詳細に、説得力を持ちそうな理由を肉付けしていきます。
今回は、なんとなく「Cost」と「Development」を使って「反対(=史跡をさらに守ろうとする必要はない)」の立場で書いていった方が方が書きやすそうかな、ということでそちらの立場ですすめていきますね。
※くりかえしますが、個人の意見はまったく反映していません。ただただ、書きやすそうな方を選ぶという点がポイントです。
理由の1つ目は「Cost」
史跡を維持・管理するためのコストは莫大である。だが、人口減がすすむ日本においては、そのコストをまかなう余裕はない。日本は、もっと直接国民に役に立つ政策にお金をつかうべきだ。
といった感じならスムーズに書けそうですね。
こういった内容のことを、英語で簡単にまとめます。
※英文の回答例はあとでまとめて紹介します。
理由の2つ目は「Development」
世界は日進月歩である。その原動力は様々な分野における成長・発展であり、わたしたちがすべきことは、過去の史跡を保護することではなく、あたらしいアイデアやテクノロジーを生み出すことである。
といったトーンです。
くり返します。
意見の内容が正しいか間違っているかは関係ありません。
じっさい、上記で書いた2つの理由もツッコミどころは満載だと思います。
ただ、たかが150字程度では、誰もが納得するような説得力のある英文など、そもそも書けるはずがないんです。
重要なことは、その意見が、フォーマットにのっとって論理的に説明できているかどうかです。
多少強引でもかまいません。
細かい点を気にしすぎて、肝心の英文を書き始められないという状態だけは避けるよう、意識してくださいね。
構成に当てはめて書いていく
ここまでで、
- 自分の立場
- それをサポートする2つの理由
を考えました。
ライティング(英作文)する上での材料はそろったということです。
あとは、120~150語程度で英文を書いていくだけになります。
冒頭でお話ししたとおり、英文を書く際には、決まった構成・セオリーがあります。
英検の英作文を書く上でも、この構成をふまえておくことはとても大切なポイントです。
【英作文の基本構成】
・序論(イントロダクション・introduction)
・本論(ボディ・body)
・結論(コンクルージョン・conclusion)
この構成を、英検準1級のライティング用にまとめると、以下のようになります。
どうですか。
ライティング(英作文)といっても、せいぜい120語程度ですから、ひとつのパート当たりで考えると5〜6文も書ければ十分なんです。
さらに、
各パートで使うキーワードを配置してあげると、より英文の骨格がつかみやすくなります。
【英検準1級英作文の定型文(フォーマット)】
それぞれのパートのキーワードをもう少しくわしく補足すると、
序論では
I think that~(または I don’t think that~)などの書き出しで、自分の立場(意見)を、簡潔かつ明確に示す。
また、本論へのブリッジとして、
I have two reasons to support my opinion.
の定型文を置けば、イントロダクションは完璧です。(文字数が多くなりすぎる場合は「to support my opinion」の部分は削っても構いません。)
本論では
First、Second、などの書き出しで、序論で述べた自分の立場を支える、2つの理由を書きます。
最後に結論として
That is why~、Therefore、などの書き出しで、序論で述べた自分の立場をあらためて示し、まとめる。
(序論で書いた英文と同じ内容であっても、表現を変えて書く(パラフレーズといいます。)ことが理想的な論文ですが、英検準1級程度ではそこまで求められません。序論をくりかえし述べれれば合格点をもらえます。)
かなり、英検準1級のライティングの方向性が見えてきましたよね。
この構造をしっかりイメージできていれば、英検準1級のライティング(英作文)は全然むずかしくありません。
では、この構造をふまえた英文を、じっさいに、先ほどの問題の解答サンプルとしてお見せします。
【TOPIC】
Should Japan do more to protect its historic sites?
【POINTS】
● Cost
● Development
● Education
● Tourism
<解答例>
I do not think that Japan should do more protect its historic sites. I have two reasons to support my opinion.
First, protecting Japanese historic sites requires huge money because it needs to be both maintained and restored. However, the present financial condition of Japan can not afford to do them. Tax revenues are decreasing as the number of Japanese people decline. The government should conduct the policy that is helpful for people directly.
Second, the world is changing day by day. The driving power is development in a wide variety of fields. In fact, according to the study that is issued by Kanto University, the importance of development is getting larger. The thing we should pursue is not protecting historic sites but creating new idea, technology and so on.
That is why I do not think that Japan should do more protect its historic sites.
<訳>
わたしは、日本はもっと自国の史跡を保護するべきだとは思わない。この意見をサポートする理由は2つある。
ひとつ目は、史跡を保護するためには莫大なお金がかかるからである。史跡の保護は、維持と修復の両方が求められる。しかし現在の日本の財政状況には、それをする余裕はない。日本の国民の数が減少するにつれて、税収は減ってきている。政府は国民に直接役に立つ政策を実行するべきである。
ふたつ目に、世界は日々変化している。その原動力は様々な分野における発展である。事実、関東大学により発表された研究によると、発展の重要性はますます大きくなっている。わたしたちが追求すべきことは史跡の保護ではなく、新しいアイデアやテクノロジーなどの創造である。
こういった理由で、わたしは、日本はもっと自国の史跡を保護するべきだとは思わない。
※「税収が減少している」や「関東大学により発表された研究」などは、すべて架空のものです。何度もお伝えしていますが、文中のデータや統計に根拠や正確性は求められません。あくまで、論理的に筋が通っているかどうか、だけが問われます。
まとめ
英検準1級のライティングは「形稽古」だと理解して、先ほど説明した以下の定型文(フォーマット)
に当てはめて書けるよう、何度も練習してください。
これだけで、合格に十分な点を確保することができます。
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仕上げに:制限時間を体感しておく
大問1の「語彙問題」、大問2の「穴埋め問題」等、すべての対策でもお話ししていますが、ライティング(英作文)においても「制限時間の体感化」は必須です。
とくに英検準1級においては、ライティングのあとに控えている「リスニング」を受ける際、できる限り「選択肢の先読み」をしておきたいので(これにより正答率が格段にアップします)、すこしでも時間的に余裕を持った状態でライティングを終えたいところです。
これは、制限時間を「頭で理解する」のではなく、「体感できている」状態にしておくことで可能になります。
具体的にお話ししましょう。
英検準1級における、リーディングとライティングをあわせた、いわゆる「筆記」全体での解答時間は90分です。
筆記全体での解答時間の理想的な配分は、おおよそ以下のとおりとなります。
上記のとおり、大問4英作文(ライティング)は30分程度で終える必要があります。
この「ライティングに充てられる制限時間」を体感しておくことが、試験当日のペース配分、メンタルの落ち着きに大きく寄与します。
「ペース配分」「メンタルの安定」は合格に直結する要素です。
ライティング対策におすすめの参考書
語彙問題などでは、単語を覚えることに加え、回転数も意識して多くの問題に触れることが大切ですが
ライティングにおいては、たくさんの問題を解くことよりも、さきほど説明した「型」を体に染み込ませることを優先するほうが有効です。
何度も言いますが、ライティングは「形稽古」なので、たとえ同じ英文であっても何度も書く方が、定型文の使い方が身につきます。
特にライティングの学習初期は、これを意識してください。
わたしがじっさいに使って、あなたに自信をもっておすすめするのはコチラの参考書です。
この本は、
- 前半:英作文に必要な基本的な英文法
- 後半:ライティングのセオリーと模範解答
の2部構成になっています。
そして、後半のライティングの解説では
ライティングの基本的な法則のほか、
「英検2級」や「英検準1級」など、個別の出題形式にあわせた解説が載っているのが素晴らしいです。
ですので、
試験までもう1週間しかない!など、あまり時間のない方は後半のみをやるだけでも効果があります。
ライティングの模範解答では、答えが「賛成」の場合と「反対」の場合の2パターンをすべての問題で掲載してくれているので、非常に勉強になります。
それ以上時間のある方であれば、一度前半をひと通り読んでみてください。
これまでふわふわ理解していた文法が、カチッと理解できる瞬間が訪れるはずです。
お恥ずかしいのですが、目からウロコの落ちた私自身のケースを紹介すると、
以下の写真の上部にある「look」の意味の解説部分。
要は、「look」の意味は「見る」ではなく「(…の状態)に見える」が正しい、という部分です。
この説明のおかげで
he looks happy.
のような、いわゆるSVCで使われる「look」の理解ができるようになりました。
(「見る」という意味になる場合は「look at」と前置詞を伴う必要があります)
こんなふうに、基礎的ではあるけれど、なんとなくフワフワしている文法知識が一気にクリアになる、という経験が
この参考書の中で何度もありました。
ライティングの対策がバッチリできることに加えて、基礎文法のツボが簡潔にまとめられている
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